代数式表記法の基本

世界共通のチェス言語

代数式表記法は、世界中で認識されているチェスの手を記録するための標準システムです。

FIDEがトーナメントや対局で公認している唯一の表記法であり、チェスの書籍や教材などでも大抵はこのフォーマットが採用されています。
詳しい仕様は以下をご覧ください。

Appendix C. Algebraic Notation – FIDE Rules Commission

この記事は基本的な事柄だけをまとめています。

座標システム

代数式表記法では、チェス盤上のすべてのマスには固有の座標を定義しています:

  • ファイル(列):左から右にa-hでラベル付け
  • ランク(行):下から上に1-8で番号付け(白の視点)

盤面の表示

基本記法ルール

駒の記号

ここでいう駒はポーン以外のことです。

  • キング:K
  • クイーン:Q
  • ルーク:R
  • ビショップ:B
  • ナイト:N(キングとの混同を避けるためKではない)

移動記法

基本的な移動は次のように記述:[駒][目的地マス]

一般的な移動例

ポーンの移動

ポーンの場合は、行き先だけを記載します。
Pe4のようにポーンを意味するPをつけるなどは不要です。

  • e4:ポーンがe4に移動
  • d5:ポーンがd5に移動
  • a7:ポーンがa7に移動

駒の移動

駒の場合は、対応する記号を接頭辞としてつけます。

  • Nf3:ナイトがf3に移動
  • Bc4:ビショップがc4に移動
  • Qd2:クイーンがd2に移動
  • Kf1:キングがf1に移動
  • Ra1:ルークがa1に移動

駒取り

駒が他の駒を取る際は × を使用します。

  • exd5:eファイルのポーンがd5で駒を取る
  • Nxe4:ナイトがe4で駒を取る
  • Bxh7:ビショップがh7で駒を取る
  • Qxd8:クイーンがd8で駒を取る

判別

同じ種類の駒が複数同じマスに移動できる場合、どの駒かを特定する必要があります。

ファイルによる判別

  • Nbd2:bファイルのナイトがd2に移動
  • Rdf1:dファイルのルークがf1に移動

ランクによる判別

  • R1a3:1段目のルークがa3に移動
  • N1f3:1段目のナイトがf3に移動

特殊な移動

キャスリング

  • O-O:キングサイドキャスリング(ショートキャスリング)
  • O-O-O:クイーンサイドキャスリング(ロングキャスリング)

アンパッサン

  • exd6 e.p.:ポーンがd6でアンパッサン
    • 但し、アンパッサン記号("e.p.")は省略することも可能です

ポーンプロモーション

  • e8=Q:ポーンがe8でクイーンに昇格
  • a1=N:ポーンがa1でナイトに昇格

チェックとチェックメイト

チェック

移動の後に**+**を追加します。

  • Qh5+:クイーンがh5に移動、チェック
  • Bc4+:ビショップがc4に移動、チェック

チェックメイト

移動の後に**#**を追加します。

  • Qh7#:クイーンがh7に移動、チェックメイト
  • Rd8#:ルークがd8に移動、チェックメイト

一般的な記号

手の質

  • !:良い手
  • !!:素晴らしい手
  • ?:疑わしい手
  • ??:大悪手
  • !?:興味深い手
  • ?!:疑問の手

局面評価記号

  • =:互角
  • ±:白がやや有利
  • :黒がやや有利
  • +-:白が勝勢
  • -+:黒が勝勢

サンプルゲーム記法

1. e4 e5
2. Nf3 Nc6
3. Bc4 Bc5
4. O-O d6
5. d3 f5
6. exf5 Bxf5
7. Ng5 Nh6
8. Qh5+ g6
9. Qxc5 dxc5
10. Bxh6

避けるべき一般的な間違い

  1. 駒記号を忘れる:nf3ではなくNf3と書く
  2. 判別の不備:複数の駒が移動できる場合の特定を忘れる
  3. チェック記号を忘れる:チェックには常に+を追加

スキルを練習しよう

📝

代数式表記法

盤面での駒の動きを見ながら代数式表記法の書き方を学びましょう

🎯

座標クイズ

タイムアタック形式で正しいマスをクリックして盤面認識力を鍛えます