2026年2月5日
記事が長いので先に結論を書きます。
個人的に、盤面把握(e4 や d5 といったマスの位置の把握)をする方法は以下で当面試してみることにしました。
これを利用して盤面把握の判断にかかる時間を最小化します。
Nf3, d6, Bb5 などどんな位置を指定されても、必ずアンカーポイントと隣接しているので効率よく場所が把握できます。
これを「クアドラント法」と名付けて運用してみることにしました。
※ 個人的なエピソードなので興味がない方は読み飛ばして次の章へお進みください
この記事でいう盤面把握とは、e4 や d5 といったマスの位置を把握することを意味するものとします。
目隠しチェスをする上では、あるマスについて考えるとき、そのマスが盤面のどこにあるかを瞬時にイメージすることが重要だと思います。 これは本来、肉眼で確認すると一目瞭然であるマスの位置が、視覚情報の補助がない場合はすぐに理解できないからです。
私が目隠しチェスでプレイできるのはせいぜい頻繁に利用するオープニングでの最初の数手程度です。 これは、単に暗記しているオープニングの代数記法をプレイしているだけで、盤面のイメージができている実感は全くありません。 ゲームが進行するとすぐに盤面の把握ができなくなります。
習うより慣れろの方式で、目隠しチェスの対局をこなすことで自然と盤面把握ができるようになると考えていましたが、私にはできませんでした。
そこで、いくつかの練習メニューを実践してみました。
マスの色単体では瞬時に判断する方法があります。 以下の記事で紹介している奇数・偶数による判定を利用するものです。
マスの色の情報はそれ自体が価値を持ちます。 例えば、白マスビショップは白マスしか移動できないので合法手の検算に利用できます。 また、チェスはボードが市松模様であるという特性を利用し、隣接するマスの色も判断できます。
ただ、ゲームを進行する上でマスの色の判別に特化した方法を知っていてもそれほど役には立ちません。 前述した実益もあるので知っておくべき事柄ではありますが、これはあくまで補助的な知識と言えるでしょう。 この結論には割と早い時点で到達したため、別の方法を考えました。
これはチェスボードの対称性に着目すると、効率よく盤面把握ができるというコンセプトのものです。 詳しいことは以下の記事で解説されています。
理論としては秀逸で、これにより効率よく盤面把握ができる場面もあると思います。 ただ、実際に目隠しチェスをプレイする際に応用するのが難しいと思いました。
例えば、 1. d4 Nf6 というオープニングを考えます。
この場合、 d4 や f6 などの位置を把握する際に対称性を利用するというのは非現実的です。
1...f6 に関して盤面把握をする場面について考えてみましょう。
ここで、「これは f6 は c6 と左右対称だからこの辺だろう」というイメージの仕方はしません。
1. d4 Nf6 という棋譜の過程で対称性を利用可能な c6, f3, c3 という座標はまだ登場しないため、盤面把握のために他の駒との相対的な位置関係を利用することはできません。
対称性によって認知負荷を減らすというアイデアや、対称の種類によってマスの色が一致するなどの法則性は確実に有用ではありますが、これ単体で実践に使うのは難しいと思いました。
特定のマスを基準点として、そこからの相対的な位置関係で他のマスを把握する方法です。 以下の記事で解説されています。
個人的にはこれが一番役に立ちました。
ボードの4隅のマスは誰でもすぐ覚えられますし、中央の4マスもオープニングで頻繁にポーンが置かれるので嫌でも覚えられる位置です。 こういったマスを利用して盤面把握するのが私には一番合っていました。
ただ、 b3 や f6 などすぐに場所がイメージできないマスがまだありました。 それらの分類的特徴は、マスがアンカーポイントと隣接していないことです。
であれば、アンカーポイントを増やせばいいのではないかと考えましたが、あまり増やしすぎると本来の効果が薄れるのでどうしたものかと思っていました。 そこで考案したのが次の章で解説する「クアドラント法」です。
ボード全体の単位で情報処理をすると負荷が高いので、ボードを4つのエリアに分割します。
ボードを4分割すると数学の座標平面と似ているため、ここではこれとメンタルモデルを合わせて以下のようにエリアに名前をつけています。
※ 自陣・敵陣は白番視点
これは別に覚えやすければなんでもいいと思います。 単にA/B/C/D として分けたり、ボード全体の4隅をアンカーポイントとして使っているなら、それに着目して a1エリア(a1-d4) / h1(h1-e4) エリア ... としてもいいと思います。
それぞれのエリアの4隅をアンカーポイントとして設定します。
1つのエリアは 4x4 の16マスです。 その4隅(左上、右上、左下、右下)がアンカーポイントになります。 結果的に16個のアンカーポイントが生まれます。
そんなにたくさん覚えるのは大変だと思うかもしれませんが、これらは覚えるのが簡単なので心配はいりません。
まず、それぞれのエリアにはボード全体での4隅のいずれかが必ず含まれています。 例えば、先に第3象限と名付けたエリア ③ は a1-d4 の範囲なので、全体のボードの4隅のひとつである a1 が含まれています。 ここから対称性の法則を利用して分割したエリアでの4隅のマスも覚えられます。
a1 だけ覚えていたらそこを点対称に d4 を覚えられます。 これはボード全体の4隅のマスと中央のマスのいずれかが対となるという規則性があるので覚えやすいです。 残りの2つに関しては d4 の上下対称と左右対称を導出したら d1, a4 であることがわかります。
同じ理論で他のエリアのアンカーポイントも自然に導けます。
このように再帰的な対称性を利用することで、記憶コストは最小限になります。
ここまでモデルを作ってしまえば実践投入できます。
この方法の最大の利点は、すべてのマスがアンカーポイントに隣接している(またはアンカーそのものである) という点です。
例えば相手が 1...Nf6 と指してきたとします。 f6 を認識する手順は、例えば以下のようになります。
このように、「f列は...6段目は...」とボード全体から座標イメージを構築するのではなく、 「右上のエリア、e5の右上」と相対位置で認識することで、脳の負荷を下げ、効率よく盤面把握ができます。