チェス盤には64のマスがあります。
これらすべてを個別に覚えるよりも、特定のマスを利用して効率よく覚える方法があります。
それがアンカーポイント法です。
アンカーポイント法とは、いくつかの重要なマスを「基準点(アンカー)」として固定し、そこからの相対位置で他のマスを認識するテクニックです。
なぜアンカーポイントが有効なのか
人間の脳は、絶対的な位置よりも相対的な位置関係を認識するのが得意です。
地図を見るとき、「東京駅から北に2km」と言われた方が、緯度経度を言われるより分かりやすいのと同じです。
チェス盤でも同様に、いくつかの基準点を覚えておけば、他のマスは「あのマスから右に1、上に2」のように把握できます。
基本のアンカーポイント
1. 中央の4マス(最重要)
- d4/d5
- e4/e5
d4, e4 は初手としてプレイされることが多く、その応手として d5/e5 も同様に多く指されます。
ここを中心に「上下左右」で周辺のマスを把握しましょう。
2. 四隅のマス
- a1/a8
- h1/h8
これらはルークの初期位置です。
四隅にあるため、盤面の端を認識する基準として利用できます。
また、キャスリング先のマス(g1/c1、g8/c8)もここから派生して覚えるといいでしょう。
キャスリング先のマスは、キングがもとにいたマスと同じ色になることも覚えておきましょう。
例えば、白のキングの初期位置は e1 であり、これは黒マスです。
O-O, O-O-O どちらでキャスリングしても、キングの移動先は黒マスです。
3. ナイトの初期位置
- b1/b8
- g1/g8
これらはナイトの初期位置です。
「端から2番目のファイル」という認識の基準になります。
実践的な使い方
実際にアンカーポイントを使ってマスを特定してみましょう。
アンカーポイントとして利用できるマスは複数あるので、自分にとって直感的に利用できるものを選んでください。
例1:f6はどこか?
- 方法A:中央から
- e5(中央アンカー)から右に1、上に1
- 方法B:ナイト位置から
- g8(黒のナイト初期位置)から左に1、下に2
例2:c3はどこか?
- 方法A:中央から
- d4(中央アンカー)から左に1、下に1
- 方法B:ナイト位置から
- b1(白のナイト初期位置)から右に1、上に2
例3:a6はどこか?
- 方法A:四隅から
- a8(左上の隅)から下に2
- 方法B:中央から
- d5から左に3、上に1
上級テクニック:オープニング由来のアンカー
チェスのオープニングをある程度知っている方は、頻繁に使うオープニングの重要マスをアンカーとして活用できます。
| オープニング | アンカーになるマス | 理由 |
|---|---|---|
| シシリアン・ディフェンス | c5, d6 | シシリアンでの典型的なポーン構造 |
| ルイ・ロペス | b5, c6 | ビショップとナイトの展開先として重要なマス |
| キングズ・インディアン | g6, d6 | フィアンケットとセンターのポーン構造 |
| クイーンズ・ギャンビット | c4, d5 | 中央へのチャレンジとして必ず指される手 |
これらを覚えていると、「シシリアンのc5から右に2」のように、より大きな塊で位置を把握できます。 これはまさにデ・フロートの実験が示した「パターン認識」の応用です。
練習方法
-
まず中央4マスを完璧に:d4, d5, e4, e5 の位置を即座に思い浮かべられるようにする
-
四隅とナイト位置を追加:合計12のアンカーポイントを固める
-
座標クイズで実践:このサイトの座標クイズを使って、アンカーからの相対位置で答える練習をする
-
オープニング学習と連携:新しいオープニングを学ぶとき、重要マスを意識的にアンカーとして追加する
まとめ
64マスを個別に暗記する必要はありません。
8〜12のアンカーポイントと、そこからの相対位置という考え方で、盤面全体を効率的に把握できます。
このテクニックは目隠しチェスの基礎となるだけでなく、通常の対局でも盤面認識を速くする効果があります。
まずは中央の4マスから始めて、徐々にアンカーを増やしていきましょう。